背景
肺癌は世界で最も罹患率や死亡率が高いがんのうちの一つで、日本では年間7万人以上が亡くなっている。CT検査は肺癌の診断に有用であり、放射線科医は画像所見と診断を記載したレポートを作成する。このレポートは診断に必要な解剖学的部位、大きさ、性状などの情報を正確に、医師間差なく記述されていることが望ましいが、実際には重要所見の見落としリスクや放射線科医によって記載内容に差があるのが現状である。
アプローチ
今回紹介する論文[1]は、CT画像から肺結節に関するレポートを自動生成するシステムを提案している。このシステムは深層学習ベースの手法を用いて、①肺結節のある肺区域を予測、②肺結節の性状を分類、③レポート生成の3つのモジュールで構成されている(図1)。2名の放射線科医を対象とした実験では、提案システムを用いて肺結節のレポートを記述することで、記載内容の類似性と網羅性が向上することが分かった(表1)。


まとめ
本論文では、CT画像から肺結節に関するレポートを記述するシステムを開発した。将来的には、本システムが他の臓器や病変にも応用され、高品質なレポート作成を補助することが期待される。
[1] Momoki Y, Ichinose A, Nakamura K, Iwano S, Kamiya S, Yamada K, et al. (2024) Development of automatic generation system for lung nodule finding descriptions. PLoS ONE 19(3): e0300325.
DOI: https://doi.org/10.1371/journal.pone.0300325
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