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ディープラーニングを用いたCT画像における肺結節検出技術

2024.02.08論文解説

背景 

肺がんはがん関連死の主な原因の1つで、2020年には世界で約180万人が死亡している。胸部CTは肺がんのスクリーニングと診断に広く利用されているが、小さな病変を見つけるのは大変な作業であり、画像診断医の負担になっている(図1)。近年はディープラーニングをはじめとした人工知能(AI)が発展し、様々な分野で活躍するようになっている。肺結節の検出にもこうしたAIを活用することで、見落としを防ぎ、画像診断医の負担を軽減できると考えられる。実際の医療現場では肺結節に対し信頼性の高いマネジメントが求められるため、AIは様々な画像条件で高い性能を保つ必要がある。

図1. 肺結節の例

アプローチ

今回紹介する論文[1]では、代表的なディープラーニング手法である3次元の畳み込みニューラルネットワークを用いて肺結節CADシステム(Computer Aided Detection)を開発し(図2)、その堅牢性(AIがどのような状況下でも性能を維持できること)を評価している。具体的には、胸部ファントムを用いて様々な放射線量の画像を作成し、各放射線量の画像に対して、感度とFP数、および FROCを比較した。その結果、実際に臨床現場で利用されている線量の範囲内では、CADの肺結節検出感度は変化しなかった。さらに、経験値の異なる10名の医師による読影実験では、このCADを併用することで、結節の検出能が上がった(CADを併用することで肺結節の検出数が1検査あたり2.19個から3.13個に向上)。

図2. 肺結節検出のネットワーク概要 [1]

まとめ

本論文で開発した肺結節CADシステムは様々な画像条件に対して高い堅牢性を示し、画像診断医がCADシステムを併用することで肺結節の検出能が上がった。将来的には、こうしたシステムのエビデンスが蓄積され、より信頼性の高い肺がんのマネジメントができるようになることが期待される。

[1] Katase, S., Ichinose, A., Hayashi, M. et al. Development and performance evaluation of a deep learning lung nodule detection system. BMC Med Imaging 22, 203 (2022).

DOI: https://doi.org/10.1186/s12880-022-00938-8


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