背景
脳梗塞は、脳血管が何らかの原因で閉塞し、その先の脳細胞に十分な酸素やエネルギーを供給できなくなる(=脳虚血)ことで脳機能が障害される病気である。治療方針の決定においては、画像検査の第一選択である非造影CTから、「脳梗塞領域の広がり度合い」を評価することが望ましい。CTで急性期の虚血性変化の広がりを客観的に評価する指標として、ASPECTS(Alberta Stroke Program Early CT Score)がある。ASPECTSは、基底核レベルと放線冠レベルの2段面を用いて一側の中大脳動脈領域の10カ所を観察し、虚血性変化のある領域を10点満点から減点していくもので、一般に7点以上が血管内治療の適応となる。
アプローチ
今回紹介する論文[1]は、左右比較という専門医の知見を組み込んだ3次元の畳み込みニューラルネットワークモデル(3D-BHCAモデル)により脳梗塞領域を抽出し、それをもとに算出したASPECTSの臨床的有用性を検証している。(3D-BHCAモデルの詳細については、別ページで紹介しているので、興味のある方は参照いただきたい。)計151人の患者とその左右のASPECTS領域(151×20)に対して評価を行ったところ、3D-BHCAモデルのASPECTS算出能は、専門医同等以上だった(表1,2)。
まとめ
本論文ではニューラルネットワークを用いてASPECTSを算出し、専門医と同等以上の性能を示した。将来的には、この技術を用いることで脳梗塞の広がりをより正確に評価できるようになり、治療選択に役立つことが期待される。
[1] Naganuma, Masaki, et al. “Alberta stroke program early CT score calculation using the deep learning-based brain hemisphere comparison algorithm.” Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases 30.7 (2021): 105791.
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2021.105791
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