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複数枚のCT画像から肝腫瘍の性状を分析するシステム

2024.07.03論文解説

背景 

肝臓はヒトの体で最も大きな臓器で、栄養素を作って保存したり、有害な物質を分解・解毒したりする機能がある。肝腫瘍は良性と悪性があり、これらの鑑別は治療方針の決定に大きく関わっている。肝腫瘍の鑑別には、ダイナミック造影CTが用いられることが多い。例えば、代表的な良性腫瘍である肝血管腫は長く造影され続ける一方で、肝細胞癌では腫瘍部分が素早く造影され(早期濃染)、素早く抜けていく(washout)という特徴がある(図1)。こうした画像特徴は、複数の造影タイムングで撮像された画像を比較しつつ区別する必要があり、放射線科医にとって時間を要する作業となっている。

図1. 肝血管腫と肝細胞癌のダイナミック造影CTにおける特徴

アプローチ

今回紹介する論文[1]は、ダイナミック造影CT腫瘍特徴を分類するディープラーニングニューラルネットワークモデルを提案している(図2)このモデルは複数の造影タイミングで撮像された画像を入力として、肝腫瘍の鑑別に重要な早期濃染、washoutなどの8つの画像特徴を分類するように学習されている。さらに、施設によって撮像する画像数が異なるため、1~3画像の入力に対応できるようになっている。評価実験では、ROC-AUCで平均91%以上の分類性能を示した。 

図2. 提案モデルの概要 [[1]より引用改変]

まとめ

本論文ダイナミック造影CTの腫瘍特徴を分類するモデルを提案し、 ROC-AUCで平均91%以上を達成した将来的には、こうしたモデルを利用することで、放射線科医がより高精度に、より素早く肝腫瘍の鑑別ができるようになることが期待される 

[1] Otani, K. et al. (2023). Automatic Characterization of Liver Tumors from Multi-phase CT Images. Proc. SPIE Medical Imaging (SPIE MI), San Diego, CA, February 2023. 

DOI: http://doi.org/10.1117/12.2648644


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