背景
肝臓の内部には門脈や静脈といったたくさんの血管が分岐走行しており、それぞれの血管が灌流する領域によって8つの区域が定義されている(図1)。肝臓の外科的切除手術を行う場合、こうした血管を適切に処理して進めることが求められるため、術前に3D画像を作って血流や肝区域を把握することが標準的である。しかし、こうした3D画像の作成は自動化されておらず、外科医や放射線科医にとって負担が大きい作業となっている。
アプローチ
今回紹介する論文[1]は、3次元のCT画像から肝区域の領域抽出を行うアルゴリズムを提案している(図2)。このアルゴリズムは2ステップに分かれており、まず門脈と静脈を抽出する。次に、抽出した血管に基づいて肝区域を分割する。この時、血管を4つの大まかな分枝に分けてから詳細な8分枝に分け、さらにボロノイ分割という領域分割の手法を用いることで8つの肝区域を抽出している。肝臓移植のドナー候補を対象とした評価実験では、肝臓の左右は100%の精度で、4区域と8区域はそれぞれ92.8%、91.6%の精度で分割できた。
まとめ
本論文では肝区域の領域抽出のための2段階のアルゴリズムを提案し、高精度に分割できることを示した。将来的には、こうした技術によって術前シミュレーションが簡便になり、安全な手術に繋がることが期待される。
[1] Kazami Y, Kaneko J,Keshwani D, Kitamura Y, Takahashi R, Mihara Y, et al. Two-step artificial intelligence algorithm for liver segmentation automates anatomic virtual hepatectomy. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30:1205–1217.
DOI: https://doi.org/10.1002/jhbp.1357
ご注意:
本ページに記載された技術情報・論文内容は、弊社製品搭載技術とは異なる場合があります。
全ての技術は、必要な法規制認可を得た上で製品搭載を予定します。
製品搭載時の仕様および外観は本Webサイトの内容とは異なります。