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肝部分切除術のための肝区域セグメンテーション

2024.11.06論文解説

背景 

肝臓の内部には門脈や静脈といったたくさんの血管が分岐走行しており、それぞれの血管が灌流する領域によって8つの区域が定義されている(図1)。肝臓の外科的切除手術を行う場合こうした血管を適切に処理して進めることが求められるため、術前に3D画像を作って血流や肝区域を把握すること標準的である。しかし、こうした3D画像の作成は自動化されておらず、外科医や放射線科医にとって負担大きい作業となっている 

図1. 肝区域の解剖図

アプローチ

今回紹介する論文[1]は、3次元のCT画像から肝区域の領域抽出を行うアルゴリズムを提案している(図2)このアルゴリズムは2ステップに分かれており、まず門脈と静脈を抽出する。次に、抽出した血管に基づいて肝区域を分割する。この時、血管を4つの大まかな分枝に分けてから詳細な8分枝分け、さらにボロノイ分割という領域分割の手法を用いることで8つの肝区域を抽出している。肝臓移植のドナー候補を対象とした評価実験では、肝臓の左右は100%の精度で、4区域と8区域はそれぞれ92.8%、91.6%の精度で分割できた。

図2. アルゴリズムの概要 [1]
図3. 肝臓の8区域の分割例 [1]

まとめ

本論文肝区域の領域抽出のための2段階のアルゴリズムを提案し、高精度に分割できることを示した。将来的には、こうした技術によって術前シミュレーションが簡便になり、安全な手術に繋がることが期待される 

[1] Kazami Y, Kaneko J,Keshwani D, Kitamura Y, Takahashi R, Mihara Y, et al. Two-step artificial intelligence algorithm for liver segmentation automates anatomic virtual hepatectomy. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30:1205–1217.

DOI: https://doi.org/10.1002/jhbp.1357


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