背景
MRIでは撮像時間短縮のために、受信コイルの感度差を利用してデータを間引いて撮像するパラレルイメージングが広く用いられている。しかし、間引き率を高めるとコイル感度配置に起因するg-factorが空間的に不均一となり、画像内でノイズ強度が場所によって大きく異なる空間的不均一ノイズが発生する。このようなノイズは画質低下や診断能低下の要因となる。近年、CNNを用いたMRI画像のデノイズが提案されているが、多くの手法はノイズが空間的に一様であることを前提としており、不均一ノイズが顕著な高g-factor領域では十分な効果を発揮できないという課題があった。そのため、パラレルイメージング特有の不均一ノイズに対するノイズ低減手法が求められていた。
アプローチ
今回紹介する論文[1]は、逐次再構成とCNNノイズ低減法を組み合わせることで、空間的不均一ノイズを段階的に低減する手法を提案している。まず、POCS法に基づく逐次再構成にwavelet (非周期の小さな波)領域でのソフトスレッショルド処理※を組み込み、反復過程で増幅される雑音を抑制しつつ、g-factorに起因するノイズの空間的不均一性を低減する。その後、空間的に比較的一様化された残留ノイズに対してCNNノイズ低減法を適用することで、さらなる画質改善を行う(図1)。提案法は不均一ノイズの均質化とCNNによるノイズ低減を役割分担させた二段階構成を特徴としている。撮像時間を1/3に短縮した場合、従来の再構成法では不均一ノイズが発生しているが、提案法では不均一ノイズを低減できることが可能となった(図2)。
※ソフトスレッショルド処理:閾値より小さい値をゼロにし、閾値以上の値は閾値の分だけゼロの方向に小さく補正する処理。


まとめ
本論文では、MRIのパラレルイメージングにおける空間的不均一ノイズという実臨床上重要な課題に対し、逐次再構成法とCNNデノイズを補完的に組み合わせる有効な解決策を示した。特に撮像時間を1/3に短縮した場合において発生する不均一ノイズを低減できることを確認した。
[1] Atsuro S, Tomoki A, Yukio K, Toru S, Combination of Iterative Reconstruction and CNN-Based Denoising for Non-Uniform Noise for Parallel Imaging in MRI, Medical Imaging Technology, 2023, Volume 41, Issue 1, Pages 37-51
DOI:https://doi.org/10.11409/mit.41.37
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